テープラベルレポート、2023年5月

The Tape Label Report へようこそ。ここでは、知っておくべきカセットに焦点を当てた 5 つのレーベルを紹介し、それぞれの主要なリリースを紹介します。

2021 年、フィラデルフィアの DIY サーキットで 15 年間を過ごした後、ダン ティムリンとジェス クレイマーは、私たちと同じようにサーキットに閉じ込められていました。 新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響でエネルギーがたっぷり溜まった状態でロックダウンしていた二人は、ソニーのCCP-2300カセットデュプリケーターを手に入れ、友人のサム・カッセル（別名サンドキャッスル）に、ホーミーズ・ヘルピング・ホーミーズ（食べ物）に利益をもたらすようなスプリットを録音するよう依頼した。そして避難所に焦点を当てた相互扶助イニシアチブ。 こうして、フィラデルフィアを拠点とする慈善レーベル兼ディストリビューションである Strange Mono が始まりました。 カタログのリリース数が 40 に満たないこのレーベルは、徹底的な共感を持って作品に取り組み続けており、フィジカルおよびデジタル販売による収益はすべて、レーベルのアーティストが選んだ慈善団体に寄付されています。

Strange Mono は慈善活動に加えて、自己プロモーションという難しい道を歩もうとしているミュージシャンやリリース プロセス全般をナビゲートしようとしているミュージシャンに直接サポートを提供しています。 「自分のプロジェクトについて連絡したり、プレスを獲得したり、それについて人々に話したりするのは難しいこともあります」とティムリンは説明する。クレイマーは生涯ミュージシャンとして、リリースの準備にかかる感情的かつ精神的な作業を理解しています。 「音楽の裏にはたくさんのことがあります」とクレイマーは言う。 「プロジェクトを終えると、奇妙なことが起こります。それを嘆きそうになります。私がここに言いたいのは、『自分が誰なのか、自分が何をしているのかを思い出してください』ということです。」

『ストレンジ・モノ』が始まってすぐに、ティムリンとクレイマーの長年の友人であるマイク・パリーがアヘン剤の過剰摂取で亡くなった。 パリーはDIYヒーローズ・ワーシパーのリード・ソングライターであり、2010年にリリースされた『トゥ・ビンジ・アンド・パージ・イン・LA』は、それ以来フィラデルフィアのシーン内でカルト的な地位を獲得した。 パリーの後、ストレンジ・モノは生き残ったワーシパーのメンバーであるカート・ハワードとベンジー・デイヴィスに連絡を取り、テープをプレスすることに興味があるかどうかを尋ねた。 二人は同意し、ライナーノーツを書くことを申し出た。 このテープの収益は、危害軽減慈善団体であるプリベンション ポイント フィラデルフィアに寄付されました。 Timlin 氏は、Strange Mono の現在の方向性のきっかけとなった Worshiper リリースの重要性を強調しています。 「これは私たちにとって決して絶版にならないテープの一つです」とティムリンは言う。 「それが私たちにこの問題を真剣に受け止めるきっかけを与えてくれました。」

クレイマーとティムリンは、その情熱を友人や協力者の作品に注ぎ続け、ルーア、ニクシー・ニクス、ルナ・ハニー、クラン・カルテットなどをフィーチャーした印象的に協力的で折衷的な名簿を集めました。 Strange Mono はディストリビューション活動を通じて、より大きな DIY コミュニティにポジティブな影響を与えることに重点を置いています。 「私たちは長い間、特に DIY テープ シーンに参加してきました」とティムリンは説明します。 「取引には、お互いを高め、サポートしようとする巨大な文化と方法があります。」

昨年のコンピレーション『Strange Mono x BLIGHT』には、フィラデルフィアの両陣営の強打者がフィーチャーされており、両レーベルのベストの包括的なサンプルが提供されています。 10 年にわたるコラボレーションと友情の間には、音響的に幅広いカセット全体に自然なコミュニティと仲間意識が存在します。 「クロスオーバーがたくさんあります」とティムリンは言います。 『Strange Mono』側には、『Faraway Eyes』の生のアコースティック・カット、『Programmed Hatred』の灼熱の中絶推進カット、そしてスティーブ・エヴァンスの聖書の詩が収録されている。 Quagga の Josh Mackie はトラックだけでなくコンピレーションのアートワークも提供しています。 共同創設者のベンジャミン・シュール氏はルアという別名で登場する。 ロー対ウェイドの逆転を受けてリリースされ、Strange Mono x BLIGHT からの収益が得られます。 全国中絶基金ネットワークの編集利益。

Moot Tapes は、アイルランドで最も情報に詳しいカセット レーベルの 1 つとなる前に、左翼のアートと音楽の集団として活動を始めました。 アーティストのスティーブン・モートンとエレクトロニック・プロデューサーのピーター・ローラー（別名リプリート）によって共同設立されたムートの初期の取り組みには、アートワークの作成、DIY ショーの計画、地元キルケニーでの小さなフェスティバルの開催などが含まれていました。 2018年までに、もはや「音楽を空に放つ」ことはしないというローラーの賞賛に値する決断の結果、彼らの範囲はテープレーベルを含むまでに拡大した。 アーメン。

2018年にリリースされたリフティング（ローラーとニール・クイグリーの分裂作）の美しいアンビエント・ドローンは、温かく丸みのあるサウンドを生み出すフォーマットで音楽をリリースしたいという願望をすぐに形にした。 それ以来 5 年間、その暖かさは、ノイズ、抽象的なサウンド コラージュ、猛烈なテクノなどの間を快適にジグザグに行き来する、いくつかの短期間の島全体のリリースに広がりました。

これらすべてを導いているのは、レーベルが現在進行中のシリーズ「Signs of Life」に代表される激しいコラボレーション精神です。 このシリーズは、ムートへの強力な入り口であるだけでなく、アイルランドの脚本反転 DIY シーン全般への強力な入り口でもあります。 現在 5 回の連載が行われている Signs of Life には、サウンド アーティストのムイリアン リーヴィスやハウルバックス (エレイン ハウリー、アイリーン バックリー) から、SSMMÜTT や実験的ジャズの巨匠、ザ ボンクのフィル クリスティまで、あらゆる人々が出演しています。 今後数か月以内にさらに多くのことが起こるため、それは、ほとんど抑え込むことができないと感じることが多い状況の前兆です。

モートンの手描きで、しばしば素晴らしく迷路のようなアルバム アートは、手織りの理想に基づいているが、それに限定されないアイデンティティをムートに与えています。 コミュニティ主導型のインディペンデント シーンの中で、ムートはダブリン デジタル ラジオやオープン イヤー フェスティバルなどと並んで、外部のエネルギーと内部の誠実さを融合させています。

レーベルのボス、Replete、R. Kitt、Tr One と並ぶ崇高な 4 曲入り EP である Working に出演してから 2 年が経ち、アイルランド人プロデューサーの Jellypelt は、フルレングス デビュー作『2127 Tanya』を通じて 2021 年に加入することを発表しました。 これは、突然変異したサンプルとスキャッターガンブレイクの見事なブリッツであり、黄金時代の UK レイブクラシックのすべてのパンチを当てています。 より近い「Gorli-Boxi」が同じくらい沈み込みと幽霊のように感じられ、酔わせる「Blurlak」は1980年代のアイルランドのエレクトロニック・ゴッドファーザー、ロジャー・ドイルのより切ない作品「手術室」を現代風にアレンジしたようなヒットで、「Fuck Da Taoiseach」のダブルのようにピークに達する。フックと重量を下げます。

2011 年から活動を開始し、オハイオ州クリーブランドを拠点とするレーベル Suite 309 は、単一のジャンルに固執することを拒否した素晴らしいリリースのカタログを蓄積してきました。 彼らは、グリッチのあるブレイクコア、アンチポップのプランダーフォニックス、シンセを多用したノーウェーブ、4トラックレコーディングの実験、コンセプチュアルなジャズコメディ、くねくねとしたIDM、そして解体されたBlink-182のカバーをリリースしてきた。 唯一変わらないのは、音の可能性に対するオープンさと、奇妙なものに対する傾向だけです。

たとえば、このレーベルの最新リリース 3 枚を考えてみましょう。いずれも 2 月にリリースされました。hyphyskazerbox の Manic In Your House のクイックカット ブレイクコアです。 環境に配慮したアンビエント・ドローンと、ピーター・クリスとヒヤシンスのスプリット曲「Swimming In A Sea Of Sand」のアメリカン・プリミティブ・ギター。 そして広大でローファイ サイケデリック、ネオコスミッシュな旅、それがOMSのIlleism & No Consolationです。 これらの作品はまったく異なっていますが、冒険的なリスニングを必要とするレフトフィールド音楽を擁護するレーベルの理念にすべて当てはまります。

サンプリングされ流用された資料。 電子音の実験。 シンセを多用した楽器編成。 テープ録音。 そして遊び心のあるユーモアのセンスがレーベルの作品全体に溢れています。 ソーントンは、Splice Girls や Used Condo の作品、そして『Boiling Oil』や『101 Notes On Jazz』などのアルバムが、レーベルの作品内のある種のいたずらっぽい要素を特に象徴していると考えており、「コンセプトが高く、（通常は）売り上げが低い作品」と述べている。本当に私の心の近くにあります。」

ソーントンはまた、レーベル内の決定的に先進的でダンスに精通したグループ、つまりSophiaaaahjkl;8901とhyphyskazerbox（両者とも2016年3月にtwofoldとTANK JR.とともに西海岸をツアーした）によるグリッチのあるインダストリアルでハイパーアクティブなブレイクコアからインスピレーションを得ている。行進）。 「彼らがどのようなシーンの創造を手伝ってくれるかは、私にとってとてもエキサイティングです」とソーントンは言います。 「その間の4枚のリリースは、レーベルが現在取り組んでいる最も重要な音楽のように感じます。」

Suite 309 は創設者 Tim Thornton 自身の作品 (Tiger Village、CDX、Les Cousins Dangereux という名前で) の出口として始まり、彼がレーベルの唯一のキュレーターであるため、レーベルの異なるリリース間の共通点の多くは彼自身の作品から来ています。親和性と興味。

昨年5月にリリースされたこのコンピレーションには、ソーントンが10代だった1997年から2000年にかけて4トラックで収録された初期のソロ・レコーディング作品の一部が収録されている。 ドラム マシン、サンプラー、ソフトウェア シンセサイザーなどの電子楽器が、ライブ楽器や DVD から取られた素材と一緒に演奏されます。

Bandcamp では各トラックに伝記的および技術的な詳細が注釈として付けられており、その背後にある創造的な衝動についての洞察が得られます。 その結果、爽やかな聴き心地と、Suite 309 が提供するサウンドとアプローチへの楽しいロードマップが生まれました。

Dasa Tapes はギリシャのテープ レーベルで、パンデミックの初期に誕生し、それ以来、先進的なサウンド アートの信頼できるソースへと進化しました。 最初のロックダウンによりクリエイティブな表現方法が必要になったときに、サヴァス・メタクサスと彼のパートナーであるダナイ・ジャンナコポウロウはこのレーベルを設立した。 「プレッシャーや疲労を感じることなく、リラックスしてたくさんの音楽を聴き返すことができた時間でもありました」とメタクサスは言う。 「その期間中に、たくさんの素敵な新しい音に気づきました。」 メタクサスは以前、実験的なレーベルであるグラニー・レコードに所属しており、それを「第二の家族」と呼んでいる。 Dasa はテープのみのレーベルであり、一度に 3 つまたは 4 つのカセットを一度にリリースするという点で Granny とは異なります。 「カセットは私が音楽を聴いた最初のメディアでした」とメタクサス氏は語った。 「私はレコードが最低の時代に育ちました。CD はまだ人気のメディアではなく、子供の頃私たちに残されたものはカセット プレーヤーかウォークマンだけでした。だから、これが私たちが音楽を愛する理由なのかもしれません」このカセットリバイバルのやつ。」 レーベルの名簿は、ベン・ヴィダ、ルネ・マーグラフ（別名ピローダイバー）、ロリ・ゴールドストンなど、多作な実験ミュージシャンのリリースを含むまでに拡大しました。 「当初は、私たちが愛するアーティストに手を差し伸べる、主にキュレーションされたリリースのレーベルにしたいと考えていました」とメタクサス氏は語った。 「しかし、すぐに、私たちが入手したデモの一部が非常に優れているため、リリースを拒否することは不可能であることが明らかになりました。また、私たちはディスコグラフィーにそれほど多くのリリースがないアーティストにスペースを与え、彼らの作品作りを支援したいと本当に望んでいます」世間に知られている。」 このレーベルはまだ新しいですが、プロセス中心の実験音楽の大手輸出業者としてすでに名を馳せています。

私が Dasa Tapes に出会ったのは、山本達久の 2022 年リリースの傑作『Recycling』でした。 山本は日本人パーカッショニストであり、ジム・オルークや石橋英子と頻繁にコラボレーションしており、まったくユニークなスタイルの電子音響作曲を開発しました。 アコースティックドラムのテクスチャーとフィールドレコーディングが融合し、豊かで一貫して魅力的なサウンドスケープを作り出します。 時には暗く不気味で、時にはギラギラとリズミカルに、このアルバムの音楽はまるで息を吸ったり吐いたりしているかのように、一定の脈動を持っています。 リサイクルはリスナーを、電気と音響が融合した広大なサウンドワールドの空間を共有するよう誘います。 質感と形式的。 そして自然も産業もすべてより大きな全体の一部です。

テープレーベル Dusty Ballz のモットーは「中国アンダーグラウンドのダスティサウンド」だが、そのカタログはアンティークとは程遠い。 その名前は、スラヴォイ・ジジェクによって英語で広められ、「どういうわけか今でも状況を物語っている」古いソ連のジョークに由来しており、ロンドンのレーベルが慎重に厳選したカセットは、中国の活気に満ちた実験的なアンビエントと前衛的な音楽に飛び込みたい人にとって完璧な入り口として機能します。 -ギャルドシーン。 一部は再リリースされ、一部は限定版です。 以前はすべて、中国以外のプラットフォームで見つけるのが困難でした。

2019年末にこのレーベルを設立した中国生まれで英国を拠点とする学者マブ・リー氏は、このレーベルを「私の出身の文化世界と私が住んでいる文化世界をつなぐ架け橋」と見なしていると語る。 「これらの世界は、言語、文化、地政学的な障壁によって大きく隔てられており、その結果、人々が西側で中国の音楽や音楽文化を読んだり考えたりする際には、常に誤った表現や誤解が生じ、またその逆も同様です。」

レーベルをカセットに焦点を当てたものにするという選択には、音楽、メディア、文化を研究の焦点とするリーにとって個人的な由来もあります。 「カセットテープは、私がポピュラー音楽を聴き、購入し始めた最初のフォーマットでした」と彼は言い、彼のコレクションには「1990年代にプラスチック廃棄物として中国に輸入された悪名高いダコウ/カットアウトテープが含まれていた」と指摘しました。 また、このフォーマットにより、彼はコストを抑えることができ（すべての利益をアーティストに還元していることを考えると重要だ）、人気のあるリリースの再発行を簡単に行うことができ、これは彼がダスティ・ボールズの短い活動期間中にすでに何度かやらなければならなかったことであった。

同レーベルのこれまでのカタログには、モンゴル人ミュージシャン、フグジルトゥによる北京の通勤風景を再考した美しいアンビエント・フォーク、ナシ族サウンドアーティストのチュンヤン・ヤオによる少数民族アイデンティティの雰囲気探求、ベテラン実験家シェン・ジエによる中国の新型コロナウイルス感染症によるロックダウンについてのフィールドレコーディングを散りばめた思索が含まれている。 。 レーベル名の由来どおり、Dusty Ballz はこうした本格的な研究と遊び心をたっぷりとミックスしています。 中国医学については、フリー即興演奏の巨匠ラオ・ダンが、信頼できるサックスと、これまで手にしたことがなく足で演奏する楽器である鄭（中国のツィター）を組み合わせています。 そして『Tractor Academy』では、パーカッショニストのDeng Boyu（最新作は今年初めにCafeotoのレーベルからリリースされた）が、「バイブレーター、ゴング、その他さまざまな楽器を使用して、オールドスクールでディスコの影響を受けた荒削りなIDMに騒々しく突入している」金属製の物体。」

ダスティ・ボールズの折衷主義は万人向けではないが、リーは動じない。 「私たちのリリースの中には気に入っているものもあれば、嫌いなものもあるという人々の言葉に元気づけられました」と彼は言う。 「これらの反応は私をさらにやる気にさせます。それは私たちがうまくやっているということだと思います。」

モンゴルのミュージシャン『Hugjiltu's Cycle』は、Dusty Ballz の最も親しみやすいリリースですが、おそらくこのレーベルを最も代表するのは、それに先行するレコードです。 「Ya Cha Ban」では、中国で最も有名な実験音楽家の二人、リー・ジャンホンとウェイウェイが、夏の虫の音や山風がそよぐ竹林の音を、従来の楽器やデジタルキーボードと融合させています。

Mind Fiber、Li、Wei は、彼らが「環境即興」と呼ぶもの、つまり身近な環境の音に反応し、それとコラボレーションする実験に何年も費やしてきましたが、Ya Cha Ban に収録されている未発表のアンビエント作品は、すでに録音されているため、特にパーソナルなものに感じられます。リーが育った村のすぐ外の丘の上。 リーがメランコリックなギターで田舎の隠れ家で過ごした子供時代の思い出の魔法を模索する一方で、ウェイは遠く離れた中国北部で育った彼女の「アウトサイダー」の視点とデジタルノイズで切り込みます。 このレコードは瞑想的でありながら風変わりでもあり、探究的で型破りなリリースを好むダスティ・ボールズの傾向を反映している。